今後の日本は少子高齢化で人口減少が進んでいきます。
日本全体の人口が減っていけば住宅の需要も減少し、これからアパートを建てても空室が発生してしまうのでは?と考える人も少なくないでしょう。
人口減少はすぐに解決できる課題ではなく、日本にとって避けられない変化です。
この変化の影響は今後色々な形で出てくるでしょう。
人口の減少はアパートの賃貸を希望するユーザーの減少にも繋がります。
今回は日本の人口減少とアパート経営に与える影響について解説します。
人口が減るとアパートの需要も減少するの?
少子高齢化の影響で人口構成にも変化が
総務省統計局のデータによると、現在1億2600人いる人口は2045年には1億600人となり、16%の人口が減少していくと予想されています。(2018年9月のデータです。)
特に65歳未満の人口が著しく変化し、現在と比較して30%以上の人口が減少します。
逆に65歳以上の人口は微増傾向にあります。
人口構成の変化に合わせたアパート経営を考えよう
これからアパートを新築しようとした場合、返済期間が30年のアパートローンを利用して物件を購入してしまうと、ローンを完済したタイミングでアパートの収益化を狙う計画は難しくなります。
アパートは放っておいても古くなっていく一方、入居者の候補となる人口は減っていくからです。
アパートは古くなれば、建物には築年数相応の痛みが出てきます。
さらに人口が減るとなれば、空き部屋の発生や家賃の額を落として入居者を集めることを覚悟する必要があるでしょう。
世代における人口の数は急に増やすことはできないのです。
アパートを借りたいと思う20歳の若者の人口が急に増えることはありません。
世代毎の人口やこれからの借り手のニーズの変化に合わせてアパートの形を変えていく必要があります。
人口の変化を詳しく見ると
人口は2018年から2045年の27年間で16%の減少率ですが、ここで細かく数値の変化を見てみましょう。
世帯数は意外と減らない
2018年の総世帯数は5400世帯ありますが、2040年には5100世帯となり、約6%の減少となります。
人口が27年で16%減少することに比較して、世帯数の減少はゆるやかです。
これは1世帯あたりに住む世帯人数が減少しているためです。
2018年には1世帯あたりで平均2.28人だったものが、2040年には2.08人に減っています。
今後はさらに独身者が増加し、家族のコンパクト化が進むと想定できます。
アパート経営においても独身者や少ない世帯人数に適した物件が好まれると予想されます。
高齢者は増加している
全体の人口は今後減少していきますが、65歳以上の人口は増加しています。
これまで高齢者であれば持ち家を所有している方が多く、アパートを賃貸で借りるというニーズは少ないかもしれません。
しかし今後は
- 独身の高齢者が増える
- 持ち家を引き払ってでも、住みたい場所に移りたいというニーズが増える
ことが予想されます。
平均寿命が延びたことで、今後は高齢者でも働き手として活躍することが期待されます。
職場から遠い場所で暮らし続けるよりは、職場の近くで生活したいと考えるのは当然でしょう。
また人口が減り活気の無い場所に住み続けるよりは、気候が穏やかで住みやすく、病院や介護サービスが充実した場所に移りたいと思うのが自然ではないでしょうか。
立地や周辺サービスで高齢者に適した場所を選んで、バリアフリーなどの設備面を高齢者向けに整えたアパートは今後需要が増加すると予想されます。
これからはアパートが供給過多の時代になる
アパートは元々収益を意識して建てられたものであり、コストを抑えて造られたものです。
一般的には40〜50年ほどで寿命が来てしまいます。
しかし数年でダメになるものではないので、将来の減少が予測されている人口の数と比較して、アパートの全体の数は自然と減るものではありません。
これからアパート経営を始める場合、中古物件の購入を検討してもいいでしょう。
ただし築年数が数十年経過した物件には新築ほどの魅力はなく、入居者は集まりづらくなります。
空室を減らすためには大規模な修繕が必要になり、多額の費用がかかってしまいます。
これからアパート経営を始める際には、どの様なポイントで物件を評価したら良いのでしょうか?
少子高齢化による人口構成の変化を踏まえて、アパート経営で建物や運営方針を判断するポイントについて解説します。
設備を確認する
入居者が快適に生活をするためには、必要な設備が整っていることが重要です。
「エアコン」「水洗式トイレ」「風呂の追い炊き機能」「インターホン」といった日常生活でよく使われる設備は必須です。
イマドキのアパートであれば、「インターネット」「セキュリティ」といった設備があると、アパートの付加価値も上がるでしょう。
「インターネット」は今のライフスタイルには欠かせないインフラになっています。
ネット回線を自前で引くとなると、回線工事などの初期費用と月々の利用料が入居者の負担になっています。インターネットが無料で使えると、入居者にとってお得感が出て魅力的に映るでしょう。
「セキュリティ」は単身女性や自宅を空けることの多いユーザーにニーズの高い観点です。
ホームセキュリティやオートロック、防犯カメラといった設備があると、アパートの付加価値が高まります。
入居条件を見直す
ひと昔の賃貸不動産であれば、物件を借りる際には「敷金2ヶ月」「礼金2ヶ月」を求められることが当たり前でした。
しかし最近では「敷金ゼロ」「礼金ゼロ」という条件の物件が増えてきました。
さらに借主を見つけた不動産屋には、広告料として家賃の1ヶ月分を支払うケースもあります。
これからアパート経営を始めることを検討する場合には、敷金や礼金で空室や修繕の補填をすることが難しくなってきます。
中古物件を購入する場合には、入居者が入れ替わった時に入居者への条件が変わることを前提にして経営計画を立てましょう。
人口減少でアパートに求められる条件が変わる
今回は日本の人口減少とアパート経営に与える影響について解説しました。
今後日本で人口が減少していくことは避けられず、アパートの供給数は飽和状態になるでしょう。
トータルの人口は減っていきますが、世代や世帯人数を限ればニーズが増える物件の条件も存在します。
アパートは建てた直後から古くなっていきますが、入居者が求める設備を備えるだけでも付加価値を高めることができます。
ユーザーの要望が時間の経過とともに変わっていくものと意識して、ユーザー満足度を満たすアパート経営を心がけましょう!