アパート経営を始めると、アパートの掃除や補修箇所の点検など管理する機会が多くなります。
点検や掃除などを自分でやる自主管理か、不動産屋などに委託する委託管理の2通りに分かれます。どちらを選ぶのがよいのでしょうか。
今回はアパートを自主管理するメリットとデメリットについて解説します。
これを読めばアパートを自主管理するイメージが浮かんでくるでしょう。
自主管理と委託管理どっちがいい?自主管理のメリット
アパート経営をするにあたり、自主管理をするメリットはいくつかあります。
管理業務を全て自分で行うということは、アパート経営の生きたノウハウを身に着けるいい機会になります。
同時に入居者との密なコミュニケーションを取ることが可能になるということでもあるのです。
それでは自主管理のメリットを確認していきましょう。
自主管理のメリット1:アパート経営のノウハウを身につけることができる
アパート経営の本をいくら読んでも実践しなくては身につきません。
アパート自主管理することによって、アパート経営の実践的なノウハウを手に入れることができます。
アパート経営の生きた知識を入手するなら自主管理が一番です。副業から専業大家さんを目指すなら、自主管理がおすすめです。
自主管理のメリット2:管理費を安く抑えることができる
アパートを自主管理すると、委託管理にかかる費用を抑えることができます。
委託管理ではひと月あたり家賃収入の5~10%がかかるのが一般的。
ひと部屋8万円のアパートを4棟運用している場合は、最大3.2万円の管理費がかかる計算になります。
管理会社に管理委託契約をしていても電気や水道トラブルでは実費がかかることが大半。
管理費としてかかる分を貯金して修繕費にしておくという方法も使えます。
少しでもアパートの管理費を節約したいなら、自主管理への挑戦がおすすめです。
自主管理のメリット3:入居者とコミュニケーションが取れる
アパートを自主管理するメリット2つ目は、入居者とコミュニケーションが取れることです。
定期的にアパートの様子を見ていると、入居者と顔見知りになることができます。
日常的な掃除などで日頃からコミュニケーションを取っていれば、大きなトラブルがあったとしても悪い雰囲気になりにくいでしょう。
入居者が感じている不満もいち早くキャッチし反映することで、「ここの大家さんはすぐに対応してくれる」と退去率も抑えることができるでしょう。
自主管理中に入居者との密なコミュニケーションを体験しておくと、将来的に委託管理に切り替えた場合でも、「どのくらい入居者とコミュニケーションを取っておけば円滑にアパート経営ができるか」の指針となります。
はじめてのアパート経営では、入居者とのコミュニケーションを取ることをおすすめします。
自主管理のメリット4:建物の異変にすぐ気がつくことができる
アパートを自主管理すると、アスファルトの欠けや外壁の浮きなどの異変にすぐ気がつくことができます。
自分で直せる範囲のものならすぐに直して、大規模な修理を避けるということができます。
異変にすぐ対応することは、「ここの大家さんはすぐに対応してくれる」という入居者の信頼につながります。
ちょっとした心配りが入居者の定着率を上げることにもつながるので、自主管理をしたらこまめに建物へと足を運びましょう。
自主管理と委託管理どっちがいい?デメリット編
自主管理のメリットを説明しましたが当然デメリットもあります。裏返せばこれは委託管理をする上でのメリットともいえるでしょう。
自分で管理を行うとお金の節約になりますが時間と労力がかかる場合が多いので、自身のライフスタイルやアパート経営の目的、資金計画などを考慮して自主管理か委託管理かを選びましょう。
自主管理のデメリット1:細かい業務が増える
アパート自主管理のデメリットは「細かい業務が増える」ということです。
アパートを自主管理していると、通常時でこれだけの業務があります。
- 落ち葉掃きや雑草ぬき
- 壊れた公共スペースの修理
- 公共スペースの整理整頓
- 家賃回収
- 家賃の収支計算
- 納税書類の準備
- 入居者クレームの対応
- 入居者の契約違反対応
- 確定申告
- 税金の支払い
- アパートのリフォーム
- 入居者募集
- 家賃の口座振込確認
- 更新の確認
- リフォーム費用の積立
- 退去時の立会い
- 退去後のルームリフォーム
などの細々した手間から大がかりなリフォームまで業務は盛りだくさんです。自主管理しているうちに手がまわらないこともあるでしょう。
副業で不労所得を目指しているのに、業務が増えるのは考えものですね。
副業を考えているなら細かい業務と自分の時間を天秤にかけて、最適な管理方法を見つける必要があるでしょう。
自主管理のデメリット2:空いている時間をすべて使う必要がある
自主管理では、365日24時間いつでもアパートのトラブルに対応できる状態にしておく必要があります。
副業でアパート経営をしているなら、空いている時間にアパートの様子をこまめに見に行きたいですね。
例えばアパートの様子を見るために仕事帰りに、アパートに寄る習慣が必要になるかもしれません。そのため今まで趣味や付き合いで行っていた居酒屋へ行く時間が減るかもしれないでしょう。
「アパート経営を収入源のひとつにする!」という強い意志がないと、アパート経営が辛いものになってしまうかもしれません。それなりの覚悟が必要です。
自主管理のデメリット3:緊急時にはすぐに対応しなくてはいけない
アパート経営中は、ときには緊急性の高いトラブルが発生することもあります。
トラブルの内容によっては、旅行や出張中でも、急いで戻らないといけないという事態も。
めったに起こらないことですが、万が一のことを考えていつでも対応できる状態にしておくのがいいでしょう。
「アパート経営を始めたら、好きなときに好きなことができる!」と思っているなら、それは考えものです。
特に1棟のアパート経営を始めたときにはいつでも対応できるように準備をしておきましょう。
自主管理のデメリット4:入居者同士の人間関係の調整役になることがある
入居者同士の相性が悪い場合、トラブルとして発展する可能性があります。大家さんとして対応しなければなりません。
両者の言い分を聞いておかしいと思ったことがあっても、どちらかの味方になるということはできません。常に公平であるという態度が重要です。
自主管理のデメリット5:複数のアパート管理だと手が回らない
はじめのアパート経営がうまくいって、複数のアパートを経営することになるかもしれません。
管理するアパートの数が増えると、自主管理ができる限界がやってくることもあるでしょう。
「どうしてもアパート管理の手がまわらない!」というときには外部への委託管理がおすすめです。
今までの自主管理ノウハウを活かすことで、業者に適切な指示を出すことができるでしょう。
自主管理のデメリット6:トラブルの処理を1人で行う必要がある
アパート経営をしていると、入居者の迷惑行為や家賃滞納などのトラブルが起こる場合があります。
アパートのトラブルを解消するのは大家さんの仕事です。
家賃滞納では入居者や入居者の保証人に電話をかける、迷惑行為が続くようなら契約解除して退去してもらう、といった毅然とした態度をとる必要があります。
トラブルの対処はつらい経験ですが、アパート経営のスキルアップになります。
もしも、トラブル対応をデメリットだと考えているなら、アパート管理を業務委託したほうがいいでしょう。
アパート経営のイメージを把握したいなら自主管理がおすすめ
自主管理では自分で行う範囲が広く、時には休みの日を返上することもありますが確実に大家さんとしての経験を手に入れることができます。
初めてのアパート経営で、数年後に大家さんとして独立を目指すなら、1棟目から自主管理をしてみるといいでしょう。
自分で管理をした経験がなければ管理を委託してもトラブルに遭った場合にうまく対応できないかもしれませんし、適した業者を選べないかもしれません。
どうしても個人でカバーできなくなったあたりで委託管理に移行することも可能ですから、まずは自主管理で大家さんとしての知識とスキルを身に着けましょう。