アパート経営で実際にどのくらいの家賃収入になるのか気になりますよね。
アパート経営の収入は家賃収入が主になりますが、収入から管理や修繕のための費用と融資の返済に支払われるので、アパート一棟の家賃収入が実際に手元に残って収入になる訳でく、手取りはもっと低くなります。
アパート一棟の家賃収入が丸々手取りの収入になると思うと、思わぬ出費や返済で支出が増えてしまい痛い目に合います。
ここでは一棟アパートとして平均的な8戸のアパートを例にとって、実際に家賃収入の手取り収益がどの程度になるか、シミュレーションをしてみます。
アパート経営にかかる収支の項目を仮置きして手取り収入を推定することで、事業として成立するかどうかを確認しましょう!
アパートの家賃収入の手取りの計算方法
アパート経営において収入となるものは、基本的には家賃収入のみです。
手取りをシミュレーションする上では、常に満室の状態ではなく空室率を加味した上で計算をしましょう。
支出に関する項目は多岐に渡ります。
以下の様な項目です。
- 融資の返済
- 建物管理費
- 賃貸管理費
- 修繕積立金
- 固定資産税
- 保険料
アパートの手取りを計算するためには、これらの項目について費用感をつかんで事前にシミュレーションを行っておけば、安心してアパートの物件購入を判断することができます。
またアパート経営を始めた後でも、安定した経営状態を維持するために常に数値で現状を試算することを習慣にしておきましょう。
建物管理費
建物を維持するために必要な費用です。例えば、次の費用が挙げられます。
- 水道管などの配管維持、交換費用
- 外壁塗装費用
- 屋根のメンテナンス費用
- 老朽化によるリフォーム、改修費用
- 大雨や台風などによる修繕費用
また設備に関してはメンテナンスや交換が必要なものもあります。
- ガス給湯器
- エアコン
- システムキッチン
- トイレ、バス
- 共用部分設備
建物の維持にかかる費用は建物が新築の時にはあまりかかりません。
経年変化による建物の痛みや機器の故障が起こりにくいからです。
しかし一度建物が痛み出して目に見える形で顕在化すると、修繕費には多額の支出が求められます。
リフォームなどを伴う大規模修繕を行う場合には、さらに多くの費用が必要になってくるでしょう。
賃貸管理費
アパートの集客や契約、家賃の集金、顧客からの問い合わせに関する業務について不動産管理業者へ支払う費用になります。
自分自身で入居者の募集や契約などの窓口業務を行うのであれば不要です。
しかしアパート経営を副業で行っている会社員や、アパートが自宅から離れている場合には業者に業務を委託することになります。
業務を代行してもらう場合に発生する費用になります。
一般的な手取り額の相場はいくら?
アパート経営による平均収入は地域によってかなり違います。
都市部が高くなり、地方ほど安くなります。
逆に土地は都市部が高くなり地方だと安くなるので、土地まで借入で購入した場合には返済による支出は少なくなります。
建物の値段は地域によって大きく変わることはありません。
国土交通省が公表している資料によると、関東の首都圏を除く賃貸物件の間取り毎の平均月額賃料は以下の様になっています。
- 1R/1K/1DK:4万円
- 1LDK/2K/2DK:5万円
- 2LDK/3K/3DK:6万円
上記の賃料を元に8戸のアパート一棟の満室時年間賃料を計算してみます。
平均月額賃料×12ヶ月×8戸で計算を行うと、年間家賃収入は「384万円〜576万円」になります。
収益を計算するためには、管理費や返済といった支出を差し引く必要があります。
アパートローンの返済比率を50%と仮定し、さらに管理費は収入の15%と仮定します。
- 収益=年間家賃収入×(100% – 50% -15%)=年間家賃収入×35%
となり、手取りの収益としては「134万円〜202万円」が現実的な金額と言えます。
年収ですので月収計算とすると「月11万~17万円」ほどですね。
入居者の側から検討してみると
アパート収入の規模感を賃料を払う入居者の側から検討してみます。
賃貸アパートを借りる時、入居者が出せる賃料の目安は収入の20%と言われています。
そして現在賃貸アパート全体で一番数が多いのは一人暮らし向けの部屋です。
20代で年収が350万円の会社員がアパートを借りる場合、家賃として出せる金額は年間60万円と計算できます。
30代の場合には年収が450万円となり、年間家賃は90万円です。
今回の計算では75万円を家賃として支払うとしましょう。
先ほどと同じ様に8戸のアパート一棟の満室時年間賃料を計算してみると、年間家賃収入は600万円になります。
そして支出として返済比率が50%、管理費が15%として収入から差し引くと、手取りの収益は210万円となります。
先ほどの平均賃料から導いた収益と近い数値が出ました。
収益=手取りと勘違いしてはいけない
毎月の収入から費用を支払った後に残る収益がそのまま手取りになると勘違いをすると、痛い目に合うことがあります。
固定資産税や各種保険は年間でまとまった額請求されます。
物件の築年数や突発的なトラブルが発生した時には、大規模な修繕が必要なことも。
固定資産税は毎年多少の変動はありますが、地価と不動産価値に基づいて決まってくるもので、大体の金額はわかります。
保険も地震保険や火災保険、賠償保険、死亡保険などがありますが、入る保険の種類を決めておけば事前に必要な保険費用はわかります。
ただし修繕費については簡単に予測がつくものではありません。
突然設備が故障することがありますし、天災や目に見えない経年変化で突然建物に不具合が出ることがあります。
修繕費の積立に余裕を持たせて、不測の事態が起こった時の出費に備えましょう。
6戸や10戸で計算した場合のアパート家賃収入は?
戸数が変化したとしても、単純に「戸数×一戸辺りの手取り収益」とはなりません。
戸数が増えた場合には収入が増えるだけではなく、建物の建築費用が変わってくるのはもちろんのこと、管理費や修繕費も増加します。
10戸で賃料4~6万円とした場合、手取りの年間家賃収入を上記の式で計算した場合「168万円~252万円」となりました。
部屋数が増えれば空居率が上がる可能性はありますが、満室になる限り部屋数が多いほうが収入は増える結果となりました。
アパート経営の家賃収入の手取りは月11~17万円程度
今回は一棟アパートとして平均的な8戸のアパートを例にとって、実際の手取りの家賃収入がどの程度になるか、シミュレーションを行ってみました。
数千万円の費用をかけて新築アパートを作っても、手取りのお金が月20万円以下と思うとやや少なく感じますよね。
ただ副業としては十分ですし、融資の返済が終われば手取りの金額は増えるので収益性は大きく上がります。
もしアパート経営を本業とするとしたら、8戸の規模感であれば複数のアパート経営が必須になるでしょう。
アパート経営の手取りと年収には大きな差があるので、勘違いしないように気を付けてくださいね。
また、私がつくったアパートの利回り、アパートの利回りの考え方については以下の記事に書いたので、参考にしてみてください。
[…] アパート経営での家賃収入の具体的な手取り金額を知りたいときには以下の記事も参考にしてみてください。 『アパート経営の家賃収入の手取りの目安は?【1軒8戸のアパートの場合】』 […]