アパート経営を行う人のいちばんの目的は「収益を得ること」ではないでしょうか。
アパート1棟で得られる最大の収入額は「アパート1棟の家賃の合計額」になるので、アパートの戸数を増やせば増やすほど家賃収入は増える計算になります。
ただし戸数を増やしすぎると1室当たりの広さは小さくなってしまうので、入居者から見ると居住空間が狭くて住みにくい部屋だと思われてしまうでしょう。
アパート経営において戸数を決めるのは悩ましい問題です。多すぎても少なすぎても収益に影響が出ます。
今回はアパート経営において戸数を決めるためのポイントについて解説します。
アパートの戸数を増やすことのメリット・デメリット
戸数を増やすことによるメリットは収入が増えやすいこと、デメリットは初期費用と管理維持費用が高くなることです。
メリット
1部屋で月5万円のアパートがあったとしましょう。
この場合、8部屋の満室家賃収入は月40万円で、4部屋の場合には月20万円になります。
同じ1棟でも収入の違いは歴然なのです。
加えて、家賃収入以外にも、共益費や駐車場の収入を得られる可能性があります。
アパートの集客や管理を委託する業者からしても、戸数が多いアパートの方がありがたいようです。
戸数の多いアパートは管理業者から見ると
- 同じ場所のアパートを効率よく管理することができるので、業務が楽
- 戸数が多い物件の方が管理業者が得られる管理費も多くなる
となり、入居者を募集する際にはオススメ物件として店頭で勧めてもらうことも期待できるでしょう。
また、空室が発生した場合に、収入への影響を小さくすることも可能です。
1棟4戸のアパートにおいて、満室の状態から1戸が空室になった場合の賃貸収入は、単純計算すると25%の減少になります。
これが1棟8戸の場合には、12.5%の減少に留まります。
つまり戸数が多い方が、空室が発生した時の影響を少なくできるというわけです。
デメリット
戸数が多くなると、当然物件を入手するための初期費用は多くかかります。
また、修繕を行う際には、その費用は高くなり頻度も増加傾向に。
戸数の数だけ設備が増えるので、設備のメンテナンスや修理にかかる手間や費用は増加します。
また1棟の戸数を増やした分、1戸における面積は狭くなってしまい、借り手からすると借りにくい物件になってしまう可能性も。
借りにくい物件は1度空室ができてしまうと入居者が集まりにくく、空室状態が続きやすいというデメリットがあります。
アパートの平均的な戸数は?
アパートの理想的な戸数を検討する上で、現在建てられているアパートの戸数を参考にしてみましょう。
賃貸用の1棟アパートを1番多く取り扱っている「楽待」のホームページによると、現在販売されている1棟アパートの戸数の平均値を計算すると7.6戸になるようです。(2018年9月でのデータです。)
また1番多く売り出されているアパートは総戸数が6戸のタイプが1番多く、2,600棟のアパートが販売中とのこと。
最も多く流通している戸数を知ることは、アパートの理想的な戸数を検討する上で有効な情報です。
また流通が多いということは、割安で提供されている物件の戸数であると考えることができます。
戸数を決めるためのポイント
現在検討中のエリアでは何戸の部屋数があれば収益が安定するのか、一般的な平均値から決めることはできません。
これからのユーザーの変化に合わせて検討する必要があります。
また自分のアパート経営のスタイルも合わせて考えないといけません。
入居者の世帯数を考える
部屋数を増やせば満室状態での賃貸収入は増やすことができますが、狭くて住みづらい部屋になってしまうため、入居者が集まらず空室が埋まらないという事が起こるかもしれません。
空室が続けば賃貸収入は減ってしまいます。
入居者が最低限快適に生活できる部屋の大きさにも下限があります。
アパートの量を増やすだけではなく、質の面とのバランスをとることが重要です。
アパートの最低限の大きさを決めるためには、そのエリアでどの様なユーザーがいて、どれくらいの世帯人員がいるのかを見定める必要があります。
一人暮らしの会社員であれば、1Kで十分という人も多いでしょう。
キッチンや収納スペースといった専有面積を一回り小さくすることで、部屋の大きさを確保しながらコンパクトな床面積の部屋を実現できます。
ただし一人暮らしが少ないエリアでは、1LDKや2LDKといった大き目の間取りでないと入居者は集まりません。
単身世帯であれば駅近の物件が好まれますが、子供がいる世帯に関しては駅からの距離が生活のしやすさには直結しないので、通勤の利便性よりも部屋の広さと家賃が割安なことが重視されます。
自分に合っているかどうか
部屋数が多くなれば、修繕費用が多額になるだけでなく、修繕の頻度も増加する傾向にあります。
また、入居したり退去したりする人が増えるので、その度に入退去の手続きやクリーニングを行わなければなりません。
管理を業者に委託せず、自分で行なっている場合には大変な手間になります。
特に会社員を続けながら副業でアパート経営を行なっている方には負担は大きいのではないでしょうか。
自分が管理できる戸数を見定める様にしましょう。
戸数が○戸になると青色申告が可能になる
実はアパートの戸数と税金には関係があります。
アパート経営の規模に応じて、確定申告での青色申告が可能になるのです。
10戸以上の部屋を保有していると「事業的規模」と呼ばれ、アパート経営を事業として行なっているとみなされます。
事業的規模であれば青色申告が可能です。そうなれば青色申告控除で最高65万円を売上から差し引くことができます。
戸数の決め方は世帯人数と経営スタイル
今回はアパート経営において戸数を決めるためのポイントについて解説しました。
アパートの戸数を増やしていけば最大の家賃収入は増えますが、入居者が集まらない場合のリスクが大きくなります。
土地の大きさには限りがあるので、戸数と広さのバランスを見て決める様にしましょう。
そのエリアでどの様なユーザーがターゲットなのかを見定めることが大切です。
ターゲットの生活スタイルに合わせた間取りを考えれば、最低限必要な部屋の大きさがわかってきます。
また自分のアパート経営のスタイルで管理できるかどうかを考えてみましょう。
戸数が多くなれば、兼業でのアパート経営は難しくなります。
無理なく管理ができる戸数かどうか見極めましょう。