収入と費用を比較して利益がゼロになる点を「損益分岐点」と言います。アパート経営においても、損益分岐点はとても重要です。
損益分岐点を把握するメリットは、「アパートを収益が出やすい状態に変えることができる」ここに尽きます。
そこで今回の記事では、下記について解説していきます。
- 損益分岐点の考え方
- 損益分岐点の計算方法
アパート経営における損益分岐点の考え方
損益分岐点とは
売上高と費用の額がちょうど等しくなる売上高または販売数量を指す。
つまり、損益分岐点とは利益が出るか、損失が出るかの黒字と赤字を分けるポイントです。
- 空室率を高める
- 費用を減らす
アパート経営においては、上記2点が、損益分岐点を超えるポイントになります。
ただ、費用は急に下げることはできません。対策として、こまめにメンテナンスをすることで、突発的なトラブルを防ぎ、出費を抑えることはできます。
ランニングコストを減らすことで対策もできると思うので、ぜひ下記の記事も参考にしてみてください。
運用期間と売却の捉え方で変わるアパート経営の損益分岐点
アパート経営において損益分岐点の計算方法は、アパートを購入した後にどのように収益を得て回収をするのか、前提とする運用期間で変わってきます。
- ケース①短期的な利回りで考える
- ケース②売却まで考慮した長期的な収益で考える
上記のケースを踏まえて、下記にて説明していきます。
ケース①短期的な利回りで考えるケース
例えば、アパート一棟の価格が3,000万円、年間の家賃収入が500万円、金利5%でフルローンでアパートを購入したケースを見てみましょう。
- 購入価格:3,000万円
- 年間最大家賃収入:500万円
- 表面利回り:16.7%
- ローン:3,000万円(金利5%)
- 返済期間:30年
- 固定資産税:50万円
- 年間管理費:10万円
- 所得税:88万円
- 年間返済金額:193万円
- 物件の年間費用は(空室率0%時):239万円
空室率がゼロの場合「500万−239万円」で、手元に残る現金は261万円となります。
損益分岐点となる年間家賃収入を計算すると301万円となり、収益はマイナスに。
この点を考慮すると、空室率が60%が損益分岐点となります。
しかし家賃収入によって所得税が変わってくるため、損益分岐点を求める計算では収入に応じた費用の変動を考慮する必要があります。
ケース②売却まで考慮した長期的な収益で考える
先ほどと同様の条件で、10年経った後に購入価格の半額で売却した場合を考えます。
- 購入価格:3,000万円
- 年間最大家賃収入:500万円
- 表面利回り:16.7%
- ローン:3,000万円(金利5%)
- 返済期間:30年
- 固定資産税:50万円
- 年間管理費:10万円
- 所得税:88万円
- 年間返済金額:193万円
- 10年後の売却金額:1,500万円
- 10年後のローン残高:2440万円
10年間の収支を見ると、
(500万円-50万円-10万円-88万円-193万円)×120ヶ月+1,500万円-2,440万円=650万円
となります。
10年間の損益分岐点を計算すると、年間家賃419万円となりました。
空室率は84%となり、売却を考慮した場合には維持し続けるよりも損益分岐点は高いという結果になりました。
修繕を行ったりリフォームを行うことで、売却時の値段を高めることができます。ただしリフォームを行うためには修繕費を高めに設定して損益分岐点を計算する必要があります。
まとめ:損益分岐点をしっかりと把握して運用しよう
今回はアパート経営の損益分岐点について解説しました。少しでも参考になれたらうれしいです。
- 損益分岐点を把握する
- 修繕費なども込めて計算をする
- 短期的・長期的のどちらかを考える
アパート経営は株の様に短期的な売買ではなく、数年単位での運用が前提の投資になります。
損益分岐点を計算することでアパート経営の収益を確保するためのポイントを把握して、経営状態を健全に保ちましょう!