アパート経営で、建物から自分でこだわりたい場合には、まずは建築設計事務所に相談することになります。
建築設計事務所に依頼すると、自分の要望を反映した建物の設計や竣工までの計画を立てることができます。
アパートを建築から請け負う業者として工務店やハウスメーカーを選ぶ方法もあります。
建築設計事務所と工務店、ハウスメーカーとの違いは何になるのでしょうか?
今回はアパートの建設を建築設計事務所に依頼する際に押さえるべきポイントについて解説します。
建築設計事務所について
完全にオーダーメードによるアパート建築を請け負ってくれるのが建築設計事務所です。
建築士や建築家が独立して運営している場合が多いです。
自分が持つこだわりや要望にも、実際に建物の設計を行う建築士が対応してくれます。
頭の中にある抽象的なイメージを伝えるだけでも、それがどの様な形で建物として実現されるのか、具体的な図面として作成することができます。
綿密な打ち合わせを重ねて設計に時間をかけ、本当に作りたいアパートを作りたい場合に建設設計事務所に依頼をするといいでしょう。
しかし建築設計事務所に設計を依頼したからといって、建物の建築施工まで担当できるとは限りません。
建築士が独立して運営しているので事業所としての体制には限りがあり、建物の建築施工は工務店が引き継いで行う場合がほとんどです。
事務所によっては協力関係を結んでいる工務店に任せることもあります。
基本的な建築設計事務所の担当業務は、アパートの設計と施工管理までとなります。
建築設計事務所の種類
建築設計事務所の特徴的な業態として2種類が挙げられます。
- アトリエ系建設設計事務所
- 組織系建築設計事務所
上記以外にも個人経営や中小企業の事務所があります。
アトリエ系建設設計事務所
個人の建築家によって運営されている事務所で、特に建築家個人のデザインや作家性を重視した建築物の設計を行います。
アトリエ系事務所は芸術家としての側面が強く、建物の設計においても作家性や作品性といったデザインを優先させる傾向にあります。
事務所を主宰する建築家のデザインに共感を覚えた場合にはアトリエ系建設設計事務所に設計を依頼するのがいいでしょう。
組織系建築設計事務所
設計専業で規模の大きい事務所のことを指します。
組織が大きいので建物の設計・計画から、建築現場での工事管理まで対応することが可能です。
アトリエ系事務所に比べれば建物の効率性や信頼性が優先される傾向にあります。
そのため自由なデザインを行うなどの挑戦的な設計を行うことはあまりありません。
しかしデザイン性が豊かな設計ができないという訳ではなく、堅実的なデザインに留める傾向にあると言えます。
アパート建設を建築設計事務所に依頼するメリットとデメリット
施工業者(工務店、ハウスメーカー)と比較して、建築設計事務所の特徴を挙げます。
施工の制約を受けず、施主の要望を最優先にした設計が行える
ハウスメーカーのアパートでは建材や工法が限定されます。パッケージ化されたアパートではさらにデザインも統一されます。
また業者によっては「施工に手間のかかる技術は職人がいないので対応できない」とか「在庫を抱えた建材を使い切りたい」といった事情や制約がありますが、建築設計事務所では自由に設計を行うことができます。
入居者に合う設備を用意できる
入居者のターゲットを絞ったアパートを検討している場合、入居者に喜ばれる仕様のアパートを設計できます。
例えば高齢者や身体障害者向けのアパートを検討する場合、段差を無くして手すりをつけたバリアフリー対応や、車椅子が通れる通路の幅を確保するなどの入居者に喜ばれるアパートを具体的に仕様に落とし込んで設計をしてくれます。
適切な施工の監理が行える
工事期間中には施主に代わって現場の監理を行います。
施工業者とは異なる立場で監理を行うので、施工中のミスや不正をチェックします。
打ち合わせ回数が多く、設計に手間と時間がかかる
あらかじめ用意されていたラインナップからオプションを選択するのではなく、完全にオーダーメイドで仕様を決める必要があります。
ハウスメーカーでは用意された選択肢から選んでいく形で使用を決めることも多いですが、建築設計事務所の設計ではゼロから建物の設計を始める必要があります。
設計事務所の設計では決まっているものは何一つないのです。
施主にとっては興味のないことでも、一つひとつ打ち合わせで確認して進めることになります。
施主の要望を把握して設計に反映させるために、打ち合わせ回数を重ねる必要があります。
良い建築設計事務所を見分けるポイント
施主の要望を叶える設計ができる事務所かどうかがポイントになります。
設計事務所もプロとはいえ、自分の要望をイメージで伝えたとして完全に具体化できるとは限りません。
「もっとカッコ良く」とか「もっとおしゃれに」という伝え方をしても、全くニュアンスが伝わらずに意思疎通ができない可能性があります。
抽象的なイメージを伝えるのは難しいものです。
過去の設計事務所の実績を確認して自分の要望が叶えられそうかどうか判断しましょう。
また自分の要望を伝える時には写真や図を用意することで、事務所側にもイメージを正確に把握してもらう努力も必要です。
初期の打ち合わせの段階で具体的なイメージが共有できなかった場合には、他の設計事務所を検討を視野に入れてもいいかもしれません。
手間と時間を惜しまないなら、こだわりのあるアパートを作ることが可能
今回はアパートの建設を行う場合に検討する建築設計事務所について解説しました。
完全にオリジナルのアパートを作りたいのであれば、建築設計事務所に設計を依頼することになります。
ゼロベースから設計を行うので手間と時間はかかりますが、完全オーダーメイドのアパートを建築することが可能です。
またオーダーメイドの場合には建築費用が高くなるのではと考えがちですが、施主がローコストを希望した場合にはその要望に応えた設計を行います。
パッケージ化したアパートを建てられないような変わった土地でも、フレキシブルに対応してくれます。
しかしアパート経営においては長期間アパートを運営し続けることも重要です。
品質が高く長期間に渡って関係性を続けられる建築設計事務所を見つけることが鍵になります。
建築設計事務所でも品質の高いアパートを建築することは可能です。
アパート経営に手間と時間をかけることができるのであれば、建築設計事務所に依頼して、こだわりのあるアパートを手に入れましょう!